こんにちは、イラストレーターのICHI(イチ)です。
今回はCLIP STUDIO PAINTのVer3.0「EX版」からの機能「レイヤーカンプ」の使い方について解説します。
こちらはレイヤーの表示・非表示を記録して、差分イラストの管理ができ、一括で書き出し保存ができる機能です。
以前レイヤーごとの書き出し一括保存の仕方を記事にしたのですが、
それよりもシンプルな操作で複数のイラストを描きだすことができるので、Ver3.0以降のCLIP STUDIO を持ってる方は是非そちらも活用してみてくださいね。
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もくじ
使い方(Win/Mac パソコン版)
こちらのブログではWindows版のCLIP STUDIO で解説します。
iPad版の人は「シンプルモード」では使えない機能なので「スタジオモード」へ切り替えてから使ってみてくださいね。
レイヤーカンプを追加する
❶まずはレイヤーを分けたイラストを用意します。
今回のサンプルは女の子のイラストです。
差分は「まゆげ」「目」「口」をそれぞれ色々なパターンで組み合わせられるようにしてみました。
❷「レイヤー」&「レイヤーカンプ」のウィンドウを表示しておきましょう。
今回はわかりやすく横に並べています。

「各ウィンドウ」が見当たらない人は「メニューバー」から「ウィンドウ」→「レイヤーカンプ」「レイヤー」に☑チェックを入れて表示させます。

❸さっそくレイヤーカンプに今表示されている状態を記録してみます。
「レイヤーカンプを追加」アイコンをクリックします。
わかりやすい名前を付けておきます。
これで今のレイヤーの表示・非表示状態が記録されました。
❹次に別の差分を作って記録してみます。
「レイヤーウィンドウ」から、レイヤーの表示・非表示を切り替えて、記録したい表情を作ります。

先ほどと同じように「レイヤーカンプを追加」アイコンをクリックし、名前をつけておきます。今回は「表情02」と付けました。

これで2つ目の表情差分が記録されました。
同じ要領で複数のイラストをレイヤーカンプに記録していきます。

❺それぞれの記録した差分を確認したい場合は「目のマーク」をクリックして表示切替をします。
もしくは「上下のボタン」でも切り替えることができます。

「レイヤーウィンドウ」を見てみると、レイヤーカンプの差分表示を切り替えるたびに、それぞれ記録されたレイヤーの表示・非表示に切り替わっていることが確認できます。

レイヤーカンプの上書き保存と注意点
修正したイラストを、既存のレイヤーカンプへ上書き保存したい場合は
「レイヤーカンプ」の上書きアイコンで保存します。
その場合は少し注意が必要です。
修正し終わったレイヤーのまま、レイヤーカンプの表示「目のマーク」をクリックしてしまうと、その部分に記録されていた差分が表示されてしまいます。(レイヤーも記録されていた状態へ戻ります)
❶上書きしたいレイヤーカンプの「目のマーク」を押して表示します。

❷新しい表情差分を作ります。
❸「最後のレイヤーの表示状態」の目のマークがオンになっている状態のままにして
上書きしたいレイヤーカンプの「名前の部分」を選択します。(目のマークはクリックしないでください)
❹その状態で「レイヤーカンプを上書き」アイコンをクリックします。

❺現在の各レイヤー表示状態を、選択中のレイヤー還付に上書きしますか?と聞かれるので「上書き」をクリックして完了です。
これで上書き保存ができました。

レイヤーカンプの目のマークを(もしくは上下マーク)を押してちゃんと上書き記録されているか確認してみてくださいね。
レイヤーカンプに記録したイラストをそれぞれ書き出し保存する
表情差分がすべて出来上がったらさっそく保存してみましょう!
全てを書き出すこともできますし、選択された分だけ書き出すこともできます。
❶「メニューバー」から「ファイル」→「その他の書き出し」→「レイヤーカンプ書き出し」をクリックします。

❷保存先をわかりやすい所へ設定し、ファイル形式を今回はPNGにします。ファイル名などはお好みで。

選択されたレイヤーカンプのみ書き出したい場合はチェックボックスに☑チェックを入れます。
「OK」をクリックします。
❸次に書き出すイラストの細かい設定をします。
今回はデフォルトのままですが、サイズや解像度など決まった形がある場合は設定します。

❹OKをクリックして書き出し完了です。

「追加したレイヤーは全カンプで表示状態にする」とは?
左下に「追加したレイヤーは全カンプで表示状態にする」というアイコンがあります。

こちらも慣れないうちは少し扱いに注意が必要です。
例えば
すべての表情差分が出来上がり、レイヤーカンプへ記録もできました。
「追加したレイヤーは全カンプで表示状態にする」をオンの状態にします。
ここから「新しくレイヤーを追加して吹き出しイラスト」を追加したとします。
すると全ての記録されていたレイヤーカンプに「吹き出しイラスト」が追加された状態になります。


この機能はすべての差分イラストに
共通の背景や小物イラストを適用させたい場合、加筆修正したレイヤーを適用させたい場合(洋服や髪の毛)等、一括で行うことができる便利な機能です。
「追加したレイヤーは全カンプで表示状態にする」をオンにしていたことを忘れていて、
意図せずイラストレイヤーを追加してしまい、今までのカンプがすべて上書きされてしまうことがあります。
この場合「戻る」で変更前に戻るか、
追加したレイヤーを「切り取る」or「削除する」ことで「レイヤーカンプ」内から消え、元に戻すことができます。
活用例
まちがいさがしやパズル系イラストと回答

1つのキャンバスから「差分」「答え」などをまとめて作って保存することができます。
自分のサインを入れる
「追加したレイヤーは全カンプで表示状態にする」をオンにすれば、全てのイラストに自分のサインを一括で入れることができます。
ファイルオブジェクトを利用したイメージ画像制作
背景や細かい素材を作った後は、どの組み合わせがいいかな?
ゲーム制作のビジュアルやUIを検討する場合もレイヤーカンプが役に立ちます。


こちらのイメージ画像用キャンバスには「猫のアイコン」と「ボールイラスト」が1種類しか追加されていませんが……
ちゃんとレイヤーカンプには数種類のカラーの猫やボールが記録されています。
実はこの二つのイラストは「ファイルオブジェクト」としてクリスタ形式のファイルをキャンバスに読み込んでいます。
なんと、ファイルオブジェクトとして追加したイラストは「ツールプロパティ」でそのファイルに記録されているカンプを表示することができます。
また、選択して表示したカンプごとに、現在のキャンパスの「レイヤーカンプ」に保存することもできるのです。

今回のように差分ごとにイラストレイヤーを増やさなくても「ファイルオブジェクト」のレイヤー1つで、
複数の猫のカラーをカンプに保存することができます。
膨大な数の差分が必要な場合は「ファイルオブジェクト」でレイヤー一覧もシンプルになりますので、こちらも是非活用してみてくださいね。
操作方法
❶新しいキャンバスを作ったらメニューバーから「ファイル」→「読み込み」→「ファイルオブジェクトを作成」で、レイヤーカンプ保存済みのクリスタ(.clip)ファイルを読み込みます。
今回はサンプルの「neko.clip」を読み込みます。このファイルには6種類のカラーの猫がレイヤーカンプに保存されています。
❷読み込んだら「ツールプロパティ」の中に「レイヤカンプ」の項目がありますので、そこから記録されているカンプを呼び出せます。
まとめ
以上が「レイヤーカンプ」機能の基本操作と活用例になります。
今の段階ではレイヤーカンプが記録するのは「レイヤーの表示・非表示」の状態と、ファイルオブジェクトのツールプロパティで設定した「レイヤーカンプ」の内容のみです。
ですが今回のような表情差分や背景差分、間違い探し、ゲーム関係のイラスト差分の保存など作業時間をぐっと減らしてくれる便利な機能ですので、ぜひ活用してみてくださいね。
最後までありがとうございました!